2007年 3月 1日
富 山 県 経 営 者 協 会
会 長 井 村 健 輔 殿
日本労働組合総連合会富山県連合会
会 長 草 嶋 安 治
要 請 書
日 頃より連合富山の諸活動に対し、深いご理解とご協力を賜り、心より感謝を申し上げます。
さて国内景気は「いざなぎ」を凌ぐロングランを継続しているともいわれ、一部企業では空前の利益を計上し、多くの企業でも業績の回復、改善が進んでいます。
しかし、企業がこのような環境にある一方で勤労世帯では景気回復が未だに実感できません。そればかりか、生活保護の受給世帯が100万世帯を超え、貯蓄ゼロ世帯が2割を大きく上回るという厳しい現実が、この好況下において顕在しています。
これは、著しく公平さを欠く社会の実態を物語るものであり、働く現場でも正規、非正規という立場の違いや男女間、企業規模間で「格差」が拡大しつつあります。
そして働いているのに貧しい、いわゆる「ワーキングプア」という言葉さえ生まれるなど、社会の極端な不平等を生み出しています。
この二極化現象が、これ以上の広がりを続ければ、 社会全体の崩壊に繋がることを危惧せずにはいられません。
私たちは、そのような環境の中、この2007春季生活闘争の労使交渉において、賃金カーブ維持分に職場の働き、成果に応える賃金改善分を加え、平均7,000円の賃金の引上げを求めます。
その中でも特に中小に働く皆さんの賃金底上げ、パートタイマー・派遣・請負労働者等の均等待遇、そして「仕事と生活の調和」と「労働者の尊厳復活」に向けた労働時間短縮並びに時間外割増率の諸外国のレベルまでへの引き上げを強く要求しています。
また今、私たちは、未組織労働者も含めた全体の賃金水準の底上げを目指し、特にパートタイマーの処遇改善に向け「誰でも最低1,000円の時給」を社会的メッセージとして強く発信しており、格差拡大にストップをかけるための施策を展開しています。そして安易な労働法制の見直し、導入には強く反対する立場で、労働契約法、パート労働法、最低賃金法、雇用保険法の論議の場では「勤労者の立場の尊重」を基本に、すべての働くもののためのワークルールの確立に向けた対応を貴側に求めます。
日本経済全体の自律的な成長の維持発展は、個人消費が下支えしており、そのためには、賃上げや格差の是正による勤労世帯への適正な所得配分が不可欠です。
貴協会には前述した私たちの「意」とするところをご理解いただき、会員である各企業・事業所に対し、以下の具体的な項目について、周知、ご徹底いただきますようお願い申し上げます。
記
1. |
各労組より各企業に提出された、2007年の賃金改定要求に対しては、
「業績は、月例賃金の改善に反映する」ことを基本に「賃金カーブ維持分+賃金改善分」の有額回答を行う旨、指導すること。 |
2. |
中小・地場を中心とする定期昇給制度を持たない各社に対しては、連合富山の示す平均7,000円(定昇見合い 4,500 円+賃金改善 2,500 円)の賃金引上げを働きかけ、賃金の底上げと格差是正に努めること。 |
3. |
仕事と生活の調和 ( ワーク・ライフ・バランス ) の観点から、年間総実労働時間1800時間を希求し、労働時間の短縮はもとより、不払い残業の根絶および時間外割増率の引き上げにより、勤労者の人間性復権など、働き方と生活の改善をめざし、以下の取り組みを推進すること。
- 所定労働時間の短縮 ( 休日の増加、1日の労働時間の短縮等 ) を図ること。
- 年次有給休暇の付与日数の増加を図ること。
- 労使による労働時間管理の徹底と不払い残業撲滅の取り組みを強化すること。
- 恒常的な時間外労働削減に努めるとともに平日の時間外割増率50%、同休日100%を目指すとともに当面すべての企業が時間外割増率30%、休日割増率40%の達成を目指すこと。
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4. |
パートタイマー 等の非正規雇用者の処遇改善に向け、以下に取り組むこと。
- 時間給の改善
a.時間給は、絶対額として1,000円以上とすること
b.上げ幅は、15円程度とすること
- 働きや業務の軽重に見合った処遇への転換
正社員との比較において、遜色のない業務や責任を負わされているパートタイマー ( 擬似パート ) については、その処遇を見直し、正社員への転換または、同一の労働条件を確保すること。
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5. |
男女の均等待遇実現、全体の雇用環境是正に向け、以下の取り組みを進めること
- 改正男女雇用機会均等法の職場での積極展開
職場に根強く残る男女の賃金水準や昇進・昇格面での格差や間接差別などの課題を払拭、是正するための具体的アクションを講じられること。
また、改正男女雇用機会均等法( 2007 年 4 月施行)に基づき、各企業労使による協議のもと、労働協約をはじめとする諸制度について、男女の賃金・人事評価の面での再整備を促進すること。
- 各企業に対し、非正規雇用者から正規雇用者への転換制度の導入およびその拡充を奨励し、安定雇用の確保に努めること。
- 企業のすべてが障害者の法定雇用率1.8%以上の遵守に努めるとともに、障害者が働きやすい職場、雇用環境の整備を積極的に行うこと。
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6. |
最低賃金の引き上げについて
県内の賃金面での格差の実情、パート労働者等の低廉な賃金労働者の生活実態および必要最低生計費等の動向を十分に踏まえ、地域別最低賃金審議にあたっては、引き上げ幅ではなく、「水準を重視」した適正な審議によって「地域の自主性」が発揮され、納得性の高い水準決定を目指すこと。
また企業内における最低賃金の制度化についても、すべての企業での導入を目指すこと。 |
7. |
2009年(平成21年)までに始まる裁判員制度については、当該 者裁判員に選定された従業員の職務遂行における「不利益取扱いの禁止」などの法令遵守を各企業に徹底すること。
また裁判員の職務に対応した休暇制度導入など、労使の自主的取り組みが促進され、従業員が裁判員として刑事裁判に参加しやすい環境を整備すること。 |
以上
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