今後の富山労災病院の運営について富山労働局長へ要請

連合富山は、富山労災病院をはじめ、全国の労災病院の民営化・統廃合には強く反対するとともに、労災病院の役割・機能のさらなる強化充実を強く望む立場から、12月11日、文書にて森本富志雄会長より櫻井富山労働局長に要請しました。

 現在、総務省政策評価・独立行政法人評価委員会および行政減量・効率化有識者会議(内閣官房)において、富山労災病院も含め、その民営化やさらなる統廃合が議論されており、連合では全国の労災病院を有する自治体単位で、この取り組みを展開しています。

2007年12月11日
富山労働局長
櫻井 眞一 殿
日本労働組合総連合会富山県連合会
会長 森本 富志雄
 
今後の富山労災病院の運営に関する要請書
 
 平素は、連合富山の諸活動に一方ならぬご理解とご指導を賜り、心より厚く御礼申し上げます。
 さて現在、総務省政策評価・独立行政法人評価委員会および行政減量・効率化有識者会議(内閣官房)において、富山労災病院も含め、その民営化やさらなる統廃合が議論されております。しかしながら今日ではアスベスト暴露による健康被害対策やメンタルヘルス対策などにおいて、労災病院の役割、重要性は、益々高まりつつあると認識しています。
 したがって私たち連合富山は、下記の通り、富山労災病院をはじめ、全国の労災病院の民営化・統廃合には強く反対するとともに、労災病院の役割・機能のさらなる強化充実を強く望む立場から、以下の内容について要請致します。
 
 
  1. 労災病院は、勤労者医療の中核的役割を担うため、働く人々の職業生活を医療の面から支えるという理念の下、 予防から治療、リハビリテーション、職場復帰に至る一貫した高度・専門的医療の提供、及び職場における健康確保のための活動への支援を行っている。また、勤労者の早期職場復帰及び健康確保の推進に寄与している。富山を含め全国にある33の労災病院は、最新かつ高度な医療を地域住民にも広く提供し、地域の中核病院としての役割も果たしていることを重視し、さらなる機能の充実を図ること。


  2. 現在、勤務医の多くは、厳しい労働環境にさらされていることもあり、地方を中心とした全国で医師不足が社会的問題になっている。 整理合理化計画対象の労災病院においては、医局に医師が引き上げられたり、病院を辞め、開業する医師が増えていると伝えられる。 その結果、医師不足に拍車がかかり、労災疾病の治療体制が取れなくなることに加え、地域医療すらも危うい状況に陥ることが懸念される。さらに労災病院は、労働現場および労災補償制度に精通しており、症例が少ない職業性疾病も含めた検査、治療のための特殊機器や設備、治療薬の配置等が備わっている。したがって安易な民営化および統廃合、また国立病院との統合については検討しないこと。


  3. わが国の化学物質に対する規制は640物質とされているが、既存化学物質は約6万件に上るほか、毎年1,500件が新規に届出されている実態にある。既に規制がなされているものでも、規制が実施されるまでの間に暴露した労働者に後になって影響が出ないとも限らず、臨床研究を充実させることが不可欠である。しかし、施設、人材、体制のいずれからみても民間病院では採算はとれず、公的な労災病院以外で対応するのは困難である。また、この問題への対応が埋没するおそれがあることから、国立病院機構との統合は行わず、現在の労災病院のシステムを維持すること。


  4. 職業上の疾病にはじん肺、振動障害、産業中毒、メンタルヘルスなど初期診断が難しく、その症状も重くなりやすい。このように難易度の高い治療への対応に向けた新療法の研究、普及のためにも現労災病院の諸施設のさらなる拡充をはかること。


  5. 労災保険の未手続き事業所に対して、強制的な徴収や罰則の強化に加え、加入促進のために根本的な対応を講じること。


  6. 労災病院の運営効率化については、地方自治体など公的機関が所管する病院で、運営を改善した事例を参考とすべきである。病院事業を取り巻く厳しい環境に対応しながら、より一層、経営の健全化を進めるために、中・長期的な視野にたった病院経営の実施計画を策定・実施すること。


  7. 労災病院事業は、労災勘定で事業を行っていることを十分認識し、労災病院として果たすべき機能の向上を図るとともに、効率的な経営に努めて収支の均衡を図り、経営基盤を安定させること。


  8. 未払い賃金立替払い制度は、事業主の責任によって賃金が未払いの状態に置かれた労働者を救済するものであり、当該制度は労働者のセイフティーネットとして重要である。仮に労災保険勘定で実施しないとすれば、事業主負担による同様の制度を設立すること。

 
以 上
▲ ページのTOP