いま、大手を中心に企業の収益力改善が進み、業績回復が顕在化する一方で、中小・零細企業の多くは、引き続き厳しい事業運営を強いられており、賃金をはじめとする労働諸条件については、向上の兆しは、見出せません。
その大きな背景としては、1990年代後半以降に拡大した経済のグローバル化の下で大手企業では国際競争力を維持・強化の一環として、様々なコストの低減策を中小企業に求め、工賃や買入価格の引き下げを求め続けていることがあります。
加えて直近では高騰する原材料価格を納入価格に転嫁することすらも拒絶されるなど、大手企業と中小・零細企業における不適正な取引の実態も散見されます。
そして昨年9月に連合と連合総研が実施した「中小企業における取引関係に関するアンケート調査」(以下、「連合・取引アンケート調査」)でも、こうした実態を浮き彫りにしています。
連合富山は、上述した実態を踏まえ、公正な取引慣行の確立を目指し全国の雇用労働者の7割を占めると言われる中小・零細企業で働く労働者の労働諸条件を改善していくため、構成組織や加盟組織とともに、行政関係諸団体等への働きかけなどの取り組みを展開しています。
つきましては、貴協会におかれましても、このような実態と課題をご認識いただき、加盟各企業や関係諸団体に対し、周知、ご指導下さいますよう、下記に要請致します。
記
(1) 下請代金法など関係法規の周知
下請取引適正化ガイドラインの認知度が5.2%、関係法規を全く知らない企業が37.7%(「連合・取引問題アンケート」)といった現状に鑑み、貴協会により下請取引適正化・改善のための学習会を積極的に開催すること。
一方で、現在受注側である中小・零細企業に対する学習会も企画・開催するなど、周知徹底をはかる。また、学習会の開催にあたっては連合富山との連携の下で、各企業労使の参加を検討すること。
(2) 相談窓口の拡充・整備
当該の中小各社の身近な「相談窓口」として、本年4月より県に設置された「下請け適正取引推進センター」との連携強化をはかることで一元的な対応を行うとともに、貴協会としても専門窓口を設置すること。
(3) 企業行動憲章や企業行動規範の整備
企業行動憲章や企業行動規範を普及させるとともに、社内体制整備と運用強化を徹底させる。また、日本的慣行を利用しての「締め付け」等に対する自主的規制の強化をはかること。
(4) 業界別「下請ガイドライン」の拡大
現在、素形材産業・自動車産業・繊維産業・情報通信機械産業・情報サービス・ソフトウェア産業など10の業界において「適正取引ガイドライン」が作成されているが、さらに多くの業界に拡大するとともに、周知・徹底に努めること。
(5) 今後の協力体制の形成
連合富山との定期的な協議の場を設ける等、この課題における労働組合側との協力体制を構築すること。
以 上 |