A1:労働者を雇用する際には、一定の労働条件を書面で明示しなければなりません。
違反した場合は30万円以下の罰金となります。
雇用期間や賃金、労働時間等についての取り決めを口頭で行なうのはトラブルの元となります。労働基準法では、後日のトラブルを避けるために労働者を雇用する際には一定の労働条件を書面で明示するよう義務づけています。
書面で明示しなければならない労働条件
- 労働契約の期間
- 就業の場所と従事する職務
- 始業・就業の時刻
- 時間外労働の有無
- 休憩・休日・休暇
- 賃金(締日、支給日、計算方法等)
- 退職(解雇の事由等)
労働条件明示書のモデル
A2:合理的な理由がなければ解雇は無効です。有期雇用の途中解約の場合も同様です。
使用者は、労働者を安易に解雇することはできません。合理的な理由がない場合は「解雇権の濫用」として解雇が無効となります。また、合理的理由がある場合でも少なくとも30日前に解雇を予告するか、平均賃金の30日分以上を支払う義務があります。「雇い止め(雇用期間満了時に契約を更新しないこと)」の場合も不当な解雇とみなされ無効とされることがあります。
解雇に納得がいかない場合は、簡単に応じず撤回を求めるとともに、解雇通知書、解雇理由証明書を請求し、労働組合や労働基準監督署、都道府県労働局や労政事務所等に相談してください。
解雇に関する規定
労働契約法
第16条 |
解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会の通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする |
労働基準法
第20条 |
解雇する場合は、少なくとも30日前に解雇予告をするか、予告をしない場合は、30日以上の平均賃金を支払わなければならない。 |
A3:賃金は都道府県別に定める最低賃金を下回ることはできません。時間外割増賃金はアルバイトも対象となります。
- 不当に安い賃金で働かせることを禁じるために最低賃金法が制定されており、違反した場合は罰金が科せられます。最低賃金は「地域別最低賃金」か「産業別最低賃金」のどちらか高い方が適用されます。
- 賃金は全額を直接本人に支払わなければなりません(労働基準法第24条)。社会保険や税金など以外の「手数料」や「管理費」等を勝手に賃金から控除することは禁止されています。
- 時間外割増賃金は、原則として1日8時間、1週40時間(一部業種では44時間)の法廷労働時間を超えて働いた場合に適用されます。
A4:6ヶ月以上勤務して8割以上の出勤なら有給休暇を取得でいます。
年次有給休暇の取得は労働基準法で定められている権利です。就業規則等に規定がなくても、どのような雇用形態であっても、入社日から6ヶ月継続勤務し、所定労働日と所定労働時間の場合でも、所定労働時間日数に応じて有給休暇の日数が決まっています。
契約雇用期間が6ヶ月に満たない場合でも、契約更新で継続して6ヶ月以上勤務した場合は、有給休暇の取得が可能です。
パートタイマー等への年次有給休暇の付与日数
短時間労働者の週所定労働時間 |
短時間労働者の週所定労働日数 |
1年間の所定労働日数(週以外の期間によって、労働日数を定めている場合) |
継続勤務期間に応じた年次有給休暇の日数 |
6ヶ月 |
1年6ヶ月 |
2年6ヶ月 |
3年6ヶ月 |
4年6ヶ月 |
5年6ヶ月 |
6年6ヶ月以上 |
30時間以上 |
10日 |
11日 |
12日 |
14日 |
16日 |
18日 |
20日 |
30時間未満 |
5日以上 |
217日以上 |
4日 |
169〜216日 |
7日 |
8日 |
9日 |
10日 |
12日 |
13日 |
15日 |
3日 |
121〜168日 |
5日 |
6日 |
6日 |
8日 |
9日 |
10日 |
11日 |
2日 |
73〜120日 |
3日 |
4日 |
4日 |
5日 |
6日 |
6日 |
7日 |
1日 |
48〜72日 |
1日 |
2日 |
2日 |
2日 |
3日 |
3日 |
3日 |
派遣と請負の違いって?
請負なのに仕事先の会社に指示された!
A5:請負契約であっても、発注者から直接仕事の仕事があれば派遣の働き方とみなすべきであり違法な「偽装請負」となります。
派遣か請負かは誰に指揮命令されるかが判断のポイントです。派遣は派遣先からの指揮命令、請負は仕事先の発注者でなく請負業者からの指揮命令となります。従って、発注者から指揮命令があれば派遣とみなされるべきであり、「偽装請負」となります。
偽装請負の場合、危険防止措置や労働時間管理などの責任の帰属が曖昧になるケースがあり、労働者保護の観点から問題です。図を参考に「おかしいな」と思われる方は、労働組合か都道府県労働局に相談してください。
労働者派遣と請負の違い
A6:正社員の労働時間・日数の4分の3以上働いている人は社会保険に加入させる義務があります。労災保険は全員強制加入となります。
社会保険とは健康保険と厚生年金保険。労働保険とは労災保険と雇用保険のことをいいます。
社会保険は「1日または1週間の所定労働時間および1ヶ月の所定労働日数が正社員のおおむね4分の3以上」が加入の要件となります。
労災保険は雇用形態を問わず「1人でに雇用している場合は労働者の意思にかかわらず強制加入」となります。仕事や通勤途中のケガ、仕事が原因の病気で会社が労災を認めないことがありますが、労災かどうかは労働基準監督署が認定します。労働基準監督署に申告してください。
雇用保険は「週の所定労働時間が20時間以上で1年以上の雇用が見込まれる」場合は、労働者の意思にかかわらず加入が義務づけられています。
雇用保険の受給資格要件 ※平成19年10月1日以降の離職者に適用
週所定労働時間の長短に関わらず、原則、12ヶ月(各月11日以上)の被保険者期間が必要
※倒産・解雇等により離職された方は、6ヶ月(各月11日以上)
育児休業給付金 ※平成19年4月1日以降に職場復帰した方から平成22年3月31日まで育児休業を開始した方までが対象
休業期間中 30% + 職場復帰後6ヶ月 20% = 給付率50%
A7:会社は請求があれば7日以内に賃金等を支払う義務があります。ただし、請求には時効があります。
使用者は労働者から請求があれば、退職(解雇)後7日以内に賃金を支払わなければなりません。積立金や保証金、預貯金なども同様です。また、退職手当も規定を設ける場合は、就業規則にその内容を明記しなければなりません。なお、賃金請求権の時効は2年、退職手当請求権の時効は5年です。
使用者は、労働契約が終了したら10日以内に離職票を発行しなければなりません。離職票は、失業手当を受ける際に必要となる書類です。離職票の記載内容(離職理由)に基づいて、基本手当の額や給付日数等が判断されるので必ずチェックしましょう。
退職時に会社から受け取るもの
離職票
雇用保険の失業給付受給手続きの際に必要な書類です。退職後10日以内に会社から交付されることになっています。
雇用保険被保険者証
雇用保険の加入者であることを証明する書類です。失業給付手続きに必要なほか、次の会社で雇用保険の手続きをする際にも提出を求められます。
源泉徴収票
所得税の申告に必要な書類です。年内に再就職すれば新しい会社で年末調整してもらえますが、失業期間が年を越して自分で確定申告をする際に使います。
年金手帳
厚生年金保険の加入者であることを証明する手帳です。転職先の会社に提出してください。
A8:2人以上集まれば労働組合をつくることができます。また、一人で加入できる労働組合もあります。
労働組合は、会社と対等に交渉できる働く人のための組織で憲法でもその結成や活動が保障されています。2人以上集まれば自主的に労働組合を結成することができます。また、職場の労働組合の他に1人でも加入できる地域ユニオンなどがあります。加入の仕方や労働組合のつくり方についてはお近くの連合までご相談ください。